茶の湯文化のバイリンガルナビゲーター 保科眞智子の活動ブログ Blog of a Japanese Urasenke tea master, Machiko Soshin Hoshina, based in Tokyo, Japan.

by MACHIKO SOSHIN HOSHINA

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徳川美術館

思い立って、名古屋へ春の遠足に。

20年前、新婚時代を過ごし、
長男を授かった甘酸っぱい記憶の土地には、特別な思い出があります。
当時お手伝いをさせて頂いた徳川美術館学芸部の皆様とも
嬉しい再会を果たせました。


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徳川美術館は、
尾張徳川家ゆかりの大名道具1万件を収蔵する美術館。
現在開催中の
『日本最大級の大名婚礼調度〜さちぎみ様のお嫁入り〜』展では、
江戸後期、近衛家から尾張徳川家へ嫁がれた福姫の
婚礼支度を一堂に集めた企画展を開催中です。(4/9まで開催中)
http://www.tokugawa-art-museum.jp/


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大変見応えがありました!

婚礼調度品は、今のお金で総額約50億円!
お籠は最高級仕様のロールスロイス級✨
21日をかけて京都から市ヶ谷(現在の防衛省)まで
700人のお嫁入り行列だったそうです。
道中泊まる先々、新調のお宿が用意され、
それはそれは雅なものだったでしょう。


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しかし、結婚後たった4年で
天寿を全うされたというお姫様😢

つい180年前の日本のお話です。




調度品には、日常の身の回りのあらゆる品々を、
福姫様のトレードマーク菊折枝紋蒔絵でお誂え。
大奥の様子は殆ど文献などには残っていないそうですが、
こうして残された品々から
当時の様子をいきいきと想像することができます。


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眉を剃り、お歯黒をつけ、
香を焚き染めた着物を日に5回お召し替えして、
貝合わせ遊びや聞香を楽しむ
祭礼行事が毎週のようにあり、そのお支度など、
福姫には70名の侍女
150名の男性役人が付いていたそう。

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烏の濡れ羽色に染めたお歯黒は鉄分補給にはなるものの、
柿渋のような味だそうで、
美のためにはガマン!だったのでしょうね💦

これも、つい180年前の日本のお話。




とあるご縁でお繋ぎさせて頂いた、
菊折枝紋蒔絵の碁盤、双六盤、将棋盤の三面は、
無事に徳川美術館へ里帰りすることとなり、
今回の展示にも新たな収蔵品として陳列されています。
蒔絵の模様から新しい学術的発見もあったそうです。

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写真中央段の三面。
今回、尾張へのお里帰りのお手伝いが出来ました



敷地内の宝芳亭にて
艶やかな雛御膳も美味しくいただきました!

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三つ葉葵の御紋のお干菓子は
お社中の子供達へのお土産に

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オトナの春の遠足🌸✨
ぜひ足を運んでみて下さい。

I visited the Tokugawa Art Museum in Nagoya city, where I used to work as an curator assistant. Over 10,000 items of the breathtakingly gorgeous Shogun family's art collection, including the Japan golden-lacquered wedding collection (5 billion yen!!!) are stored and displayed. Worth visiting, so when you are in Nagoya, don't miss to drop in!

by hoshinamachiko | 2017-03-08 22:14 | 茶の湯つれづれ
日本とのご縁の深い
駐日ヨルダン王国大使ご夫妻にご協力を頂き、
茶の湯を日常で楽しまれる
和やかなご様子を取材させて頂きました。


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同年代の夫人とは、お茶や子育て談義などで、いつも仲良くして頂いています。





ご夫妻は、大の日本贔屓。
20年以上に渡り日本で生活していらっしゃいます。
夫人は、大学時代には数寄屋造りを研究され、
最近では茶道のお稽古にもご熱心で
公邸でも気軽に茶の湯を楽しまれています。


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アラブと茶の湯。


一見繋がりのなさそうな両者ですが、
さかのぼること1300年以上、
はるかシルクロードを渡り
アラブのデザインや思想は
奈良時代に花開いた天平文化に大きな影響を与えました。

以来、正倉院の宝物は
いつの時代も人々の憧れであり
その意匠は茶の湯の世界にも
積極的に取り込まれていきました。


例えば、古帛紗や仕覆に用いられる裂地。
正倉院模様にある
「緞子(どんす)」の語源は、
ペルシャの織物である「ダマスク」です。
異国情緒とロマンを感じますね。




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大使夫人お見立ての茶碗は
大きさや質感もぴったり!
アラビア文字で「寿」など、
おめでたい言葉が書かれています。

文化は違えど
幸福を祈る気持ちは同じ…
因みに右から左へ読むそうですよ。






公邸に美しく飾られているアラブの美術工芸品
説明をうかがう程に
来客をもてなす おもてなしの心を
感じずにはいられません。

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手前は 客人をもてなすアラビアン・コーヒーセット
壁には 世界遺産ペトラ遺跡の絵画
映画インディージョーンズのテーマソングが聞こえてしまう…世代がバレますね(笑)


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アラビアン・コーヒーは
茶の湯と同じく、
心尽くしのおもてなし文化なのだそうです。
作法には客人への歓迎、
そして、契りを交わす社会的な象徴として
大変深い意味が含まれているそうです。




撮影後には
アラビアン・ランチを
ご馳走になりました。


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ラクダの毛で編まれた
透き通るようなガウンをお召しの夫人
美しい〜〜✨✨


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野菜やハーブ
オリーブオイルをふんだんに使った
ヨルダンのお料理の数々✨

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ペースト各種
レンズ豆、ナス、ナッツ、パプリカなど
いずれもオリーブオイルの香り高く


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ゴマの手作りパン


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パセリとスペアミントのサラダ
レモンが爽やかに


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葡萄の葉包み蒸し 中にはお米とハーブ
ほうれん草のペイストリー
ムギとナッツのコンソメ炊き などなど
いずれもとっても美味!!


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デザートには
ローズウォーターの香るババロア
乾燥ナツメやナッツ
焼き菓子や果物など



ため息の出るほど細かく美しい
寄木細工のボックスには
ピスタチオの焼き菓子がぎっしりと!!
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ちなみに箱根の寄木細工とは
製作の工程が異なるそうです。
当時伝わった品物から
日本で新たな技法を生み出したのでしょうか…





茶道をこよなく愛する
造詣の深い夫人とは、
ご一緒する度に
とても豊かな時間を過ごさせて頂きます。

夫人にとってお茶を点てるひとときは
イスラムの祈りにも通じる
心穏やかな大切な時間なのだそうです。



そして

ヨルダン、シリア、パレスチナは
言語、風土、食べもの、宗教など
文化圏としてひとつであり、
国境線はあくまで政治的な線引きとのこと。

大使夫人はじめ、多くの人々が
シリアの凄惨な現状や
イスラムに対する偏見に胸を痛めていることは
私たちにも十分に想像できましょう。




シルクロードで繋がる
アラブと日本。


今日みる
混沌とした世界情勢を理解するためにも
互いに文化の交流を続けることは
とても大きな意味があることだと
私は感じています。



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ハダド閣下とシーファ夫人
お忙しい中のご協力を
誠にありがとうございました。

本取材は
なごみ6月号の特集に掲載予定です。

by hoshinamachiko | 2017-03-05 10:00 | 出版物